印付けが終わったら補正のために仮縫いをします。
仮縫いとはしつけ糸を使って手縫いのみで仕立てることを言い、仮縫い後実際に試着して、体に合うよう直すことを補正と言います。
それでは仮縫い方法と基本的な補正の方法を解説したいと思います。
仮縫い
1. ダーツ
1.1 ダーツは出来上がり線どおりにダーツの先に向かって縫います。
1.2 縫い始めは返し縫いをしますが、ダーツ先は返し縫いをしません。
ダーツはそれぞれの方向に手で折ります。
2. 肩と脇
2.1 肩線、脇線は出来上がり線より0.5cm縫い代側から縫いはじめ、0.5cm縫い代側で縫い終わります。
縫い始め、縫い終わりは返し縫いをします。
2.2 縫い代を脇線は前側に、肩線は後ろ側に手で折ります。
ダーツがある部分と縫い合わせる時はダーツを一緒に縫うとつれ易いのでダーツは避けて縫います。
3. 袖
3.1 袖はダーツ、袖下を身頃と同様に縫い、袖下の縫い代は前側に折ります。
3.2 袖山はしつけ糸1本で2回(二重)ぐし縫いをして、糸を引き袖付け寸法に縮めます。
3.3 袖まんじゅうの上でアイロンをかけて袖山の形を綺麗に整えます。
4. 袖付け
4.1 袖は身頃と合わせ縫いますが、身頃側の縫い代を一緒に縫うとつれてしまうので縫い代は避けて縫います。
また、ジャケット等の厚い布地の場合は、縫わずにまち針で止める事があります。
補正
人それぞれ生活環境や習慣、遺伝等により多少体に癖を持っています。
それは採寸だけでは服作りに反映させることはできません。
そのため実際に仮縫いをして服を着用し、しわやつれの出方等を見ながら補正することでより着心地が良くて機能性が高く、体型を美しく見せてくれる服を作ることができます。
補正はなかなか難しい作業ですが基本的な補正の仕方を少し紹介していきたいと思います。
※原型から補正するという方法もあり、その場合この工程を殆ど行わずに済ませることもできますが、別の機会に解説します。
※文化、ドレメ共に旧原型の補正方法になります。新原型でも基本的な考え方は同じだとは思いますが新原型を補正する際にはあまり参考にならないかもしれません。予めご了承下さい。
補正について参考になる書籍
補正以外にも洋裁の基礎が全てわかりやすく載っているおススメの本です。
1. 身頃の補正
1.1 肩のところに横じわが出る(いかり肩)
いかり肩の人に見られる現象です。
肩線の肩先をほどいてしわが消えるまで、前後の肩先の縫い代を出します。
出した分量を型紙の肩線で測り、肩線を書き足します。
下の図のように書き足した肩線分(◎)袖下を上げて、袖ぐりが補正前と同じになるようにします。
1.2 肩から斜めにしわが出る(なで肩)
なで肩の人に見られる現象です。
肩先のしわをまち針でつまみ、その分を型紙の肩線で下の図のように下げ、肩線を書き直します。
この時、つまみすぎないように気を付けてください。
下げた肩線の分(△)袖下を下げて、袖ぐりが補正前と同じになるようにします。
あまりに下がりすぎてバランスが悪くなる場合などは、肩パットを使用しましょう。
2. 袖の補正
2.1 腕が上がりにくい
身頃の脇線上で袖ぐりの位置が下がり過ぎると、腕が上げにくく、腕を上げた時に身頃も一緒に上がってしまい着にくい服になります。
脇線付近の袖ぐり線を解いて、納得できる位置を見つけます。
2.2 脇の下前後からしわが出る
前後の脇の下に深い横じわが出る時は、胸回り寸法が不足した為に起こります。
脇線の腋の下をほどき、しわがなくなるまで縫い代をだし、不足分を測ります。
不足分を身頃の型紙上で直します。
この時前後の追加する寸法を同じにするために不足した前後の寸法を2等分して追加分とします。袖も書き直します。
3. 補正後の処理
3.1 補正が終わったら、まち針をとり、縫い目を全部ほどきます。
3.2 布地にアイロンをかけ縫い代についた折り目をとり、平らな状態にします。
3.3 直した型紙を布地の上に乗せ、印を付け直し、補正前につけた印は取ります。
※その後もう一度仮縫いをして最終チェックをするとより完璧に仕上げることができます。
3.4 縫い代の整理をします。余分についている縫い代をを切り揃え、本縫いをする準備をします。
以上で補正は終了です。
最後までお読みいただき、ありがとうございます♡